猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆

「ねえ、日向だってお兄さんと美桜のこと聞きたいなんて思わないでしょう?」

言いながら自分は兄の朔也と日向の事を聞きたいかと考えてみた。

……終わっているみたいだし、聞いてみたい…かも?

日向は美桜に向かってオエッと吐くまねをしてから、微笑んだ。

「兄が素敵な人だと知るのは嬉しいわ」

「もちろん、絢士さんはすごく素敵よ」

美桜が胸に手を当ててうっとりした顔をすると、日向がぐるりと瞳を回す。

「時には知りたくない情報もあるわね。だから美桜が私と同じ思いをすることになろうと、知ったこっちゃないわ」

肩をすくめておどける日向に初花は思わず吹き出してしまった。

「いいわ、知りたくないことまで聞かせてあげるんだから」

初花が振り向いて脅すような顔をすると、美桜は震えるふりをする。

「蓮の弱味を握れるなんて興奮しちゃう」

初花は声をあげて笑った。

結局、二人に乗せられて先日のベイサイドホテルで食事した時のことや、今の状況をすっかり話してしまった。

「蓮はあなたに本気ね」

納得して頷く美桜に、初花は首をかしげた。

「三条家との結婚なんてありえない、そうよね?!」

「結婚?」

「初花こそ、私の姉になる人よ」

「えっ?!」

「オーストラリアはいま何時かしら?」

美桜はそう言って立ち上がると『陽人に電話してくる』って部屋を出て行った。

「ちょっと待って!まだそんな事までは!!」

蓮さんとは始まったばかりだし、第一彼だって結婚なんて考えてないと思う!

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