猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆
「それにしてもストーカーはやっかいね」
「そう言えば、たぶん黒猫の購入された時期と次のステップについて言われ始めた頃から変なメールが届くようになったのが同じ時期なの。最近モデルを辞める噂を流している人も同じじゃないかな?」
「それを全部同じ人間の仕業と考えるのは厳しいかも」
いつの間にか戻っていた美桜が断言する。
「え?」
「名探偵 美桜の勘は鋭いのよ」
茶化しているのかと思えば、日向の顔は本気に見える。
「蓮にその事を話した?」
「ううん、まだ」
「蓮がついてるから大丈夫だと思うけど、何かあれば私たちにも遠慮なく言って」
「そうね。それと今度時間がある時に私のアトリエに遊びに来て。何かこの先のヒントがあるかもしれないし」
「ありがとう」
「あーあ!もっと話していたいんだけど、そろそろお店に戻らないと今泉さんにお店を奪われちゃう」
『実はあの人、骨董品が趣味なのよ』って言ってから美桜はチョコレートを口に入れて帰り支度を始めた。
「そっか。じゃあオフな二人で出掛けちゃう?」
日向は初花と腕を組んだ。
「ズルい!……けど仕方ないわね」
そう言ってまた一つ美桜がプチガトーを手に取った。
「ちょっとみお!食べ過ぎじゃない?」
「疲れてるのかな、甘いものが食べたいのよ、
そうだ!夕飯は一緒に食べましょうよ」
「わかった、じゃあ待ち合わせは……」
「それなら、美桜のお店に行ってもいい?陽人に聞いた時から素敵なお店だろうなって想像して、いつか行ってみたいと思っていたのよ」
「ひな、私この人の事気に入ったわ」
「私は初めからそう言ってるじゃない」
コホンと咳払いをする初花を二人が見る。
「私もあなたたちが気に入ったわ」
「「最高ね」」
初花は久しぶりに友達が出来た事を心から喜んだ。