猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆
「俺の事は蓮さんなのに」
「…ンッ…それは…」
巧みな強弱をつけて肌を撫で上げていく手に初花の身体が熱くなっていく。
「あっ……蓮さん…」
もっと触れて欲しくて、初花はしがみついて訴えると耳元に甘い囁きが落とされた。
「れん、だ」
いやいやと首を振ると、太股を撫で上げた手が別の場所へ移っていき唇も触れて欲しい場所をわざと避けていく。
「やっ…お願い……」
「どうした?」
「……意地悪…しないで…」
「苛めてるのはどっちだ?」
彼の吐息も苦しそうだ。
「…だって……」
わずかに残る理性が彼を呼び捨てるのを躊躇わせる。
彼は不誠実な事は決してしなし、言わない
それはわかってる。
でも今以上の関係を築くつもりもないのだと知ってしまったのに、私の気持ちばかりが進むのは辛くなるだけ。
「蓮さん……っねがい…」
甘い攻め苦に耐えきれず自らを差し出すようにしがみついて唇を重ねる。
「好き……」
キスの合間に訴える。
あなたの家族も、この家も、全部を好きになってしまったの。
そしてなによりも、こんなにも……
「蓮さんが……はぁ…んっ…大好き」
高ぶった気持ちが瞳から涙となって流れる。
「クソッ…それは反則だろっ」
根負けした彼に一気に深く貫かれた。
「頑固者、これでも言わないつもりか?」
大きく息をついた彼は少しだけ乱暴な手つきで私の目尻を拭った。
瞳を開けて彼に微笑む。
「言わないと動かないぞって言うつもり?」
「それはいい考えだ」
「ええ、そう言ってくれると思ったわ」
「初花?」
初花が両腕を上げて差し出すと、不振な顔をしつつ蓮は彼女を抱き起こした。