猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆
「頑固な女がお好きだといいんだけど」
「何を言って……おいっ!!」
初花は繋がったまま彼を後ろへ押し倒す。
これからする事は初めての行為だけど、
焦る彼の顔を見たら何だか楽しくなってきた。
蓮さんが相手だと、驚くほど大胆な自分になれる。
そんな自分が好きになりそうだ。
「こういうのは嫌ですか?」
ふうっと息をついて何とか余裕を見せる。
「上手く誤魔化したな」
彼の顔はまだ余裕の笑みを浮かべているけれど、さっきよりも呼吸が荒くなっている。
「そんなつもりじゃありませんけど、上手くできるのか試してみませんか?」
ゆったり微笑みかけると、彼は瞳を閉じてグッと何かを堪えるような顔をしてから腰を掴む手に力を込めた。
「……やってみせてくれ」
掠れた彼の声に煽られて初花は彼の胸に手を置くと、自らを解放して本能のままに動く。
頭の中が真っ白になり恥じらいもなく弾け飛ぶまで彼を求めた。
ぐったりと彼の胸に倒れ込むと、お互い荒い息が整うまで身動きひとつしなかった。
耳に当てていた鼓動が普段のリズムを刻み出すと、反応を知りたくて問いかけるように彼を見上げる。
「頑固者も悪くないな」
そう言って大いに満足した笑みを浮かべた彼の顔に、初花は声を上げて笑った。
今はこんな風に毎日が続けばいい
この関係の終着点がどんなものでも、踏み出してしまった歩みを止めることは出来ないのだから。
これもまた運命……
初花は心の中で、どんな結末も受け入れる覚悟をした。