猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆

「病院はどこ?」

「久遠総合病院だって聞きました」

「えっ?!」

うちの病院……

「先輩?」

「あ、ううん。ごめん、何でもない」

「私もお見舞いに行きたいんですけど、今日このあと午後からテレビの取材で韓国へ行くんです」

「そう」

「先輩、行くんですか?」

麻未が私に会いたいと思うかは疑問だし、うちの病院と聞いて余計に気が進まない……けれど、やっぱりここは行くべきだと思う。

「会ってもらえるかわからないけど、取り合えずは行ってみるわ」

「じゃあ、今から書く紙を渡して下さい」

ジェニーは鞄から手帳と名刺ホルダーを出すと、何軒か病院の名刺を見て名前と電話番号を書きその隣に私も知ってる有名人の名前を書いてから、そのページを破って差し出した。

「私からだって言えば、あの人ならわかるはずです」

「わかった、会えなくてもこれは絶対に置いてくるから」


そうして、初花は久し振りに実家の病院へ向かうことになった。

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