猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆

「麻未さんがあんなことになって、お父様がスポンサー降りちゃうみたいなの」

「あらヤダ、それ本当?!」

「ええ、まだ決定じゃないんだけど。それで編集部としては雑誌をリニューアルして新たなスポンサー探しをしたいって」

「えっと、それって……」

答えはわかりきっているのに心臓が嫌な音をたて出す。

「ええ。編集部から直接社長に、麻未さんと一緒に一花ちゃんと可鈴ちゃんに卒業して欲しいって打診があったみたい」

ああ、ついに恐れていた現実が来た。

「ええぇー!!」

驚いたのは雅人くんだけで、マッキーはやっぱりって顔してる。

「三人とももう30だものね」

「私はまだ28よ!」

ぐいっと飲んだカクテルがいつもより甘く感じて、そんな事に文句を言いたくなる自分にやるせない気持ちが込み上げる。

「そんな顔しなくても大丈夫よ、一花ちゃんの次の仕事は社長と何とかするから」

「私、仕事を選んでる場合じゃないですね」

深いため息が自然にこぼれ出る。

「あら、テレビの件考えてくれるの?」

「それは……」

考えられないです。

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