猫と宝石トリロジー ②エメラルドの絆
初花
一花が瞳を開けると静寂の中、紙をめくる音がした。
ここは?
ゆっくり首を動かすと、仄かな灯りの中で椅子に座った蓮が本を読んでいた。
寛いだ姿勢で組んだ足が裸足でそれがすごくセクシーに見える。
「気がついたか」
一花に気づいた彼は本の上から視線を上げた。
「どこか辛いところはないか?」
「ええ」
「喉は?」
本を置いて、彼がコップを取った。
一花は首を振って、身体を起こそうとすると側にきた彼に押さえられた。
「そのまま眠るんだ」
怒っている口調なのに、彼の瞳を見れば心配して気づかってくれているのが痛いほど伝わってくる。
「ここは?」
「俺の寝室だ」
「えっ」
もう一度起き上がって見ると、確かに自分の部屋とは様子が違う。
そこでもう一つ気づいてしまった。
いつの間にか着替えてる!
まさか……
「あの…着替えは……」
「楽しませてもらったよ」
顔だけじゃなく全身で真っ赤になる一花を見て蓮は笑った。
「私、自分の部屋に戻ります」
言ってすぐに、そこに待っているものを思い出して一花の顔が歪んだ。
「今日はここにいるんだ」
「でも……んっ」
蓮はそっと唇を重ね、彼女の気が反れるよう長いキスをした。