運命は始まったばかり
片付けを終わらせ
店内へ入り

店長の元に行くと、


「お疲れさま。」


そんな言葉と、

大きなケーキが渡された。


「あ、ありがとうございます」


「白石さんが頑張ってくれたおかげで
あんなにあった在庫もなくなって
本当に、1人で頑張らせて
ごめんなさいね。
バイト料は、ちゃんと多めに入れとくから・・・
素敵なクリスマスを」


そんな言葉をかけてもらえただけで

不満とか、寒さとか、苦労とか

全部全部どうでもよくなった。


着替えを済ませ
外に出ると、

歩道の花壇に腰を下ろし

きれいに飾り付けられたイルミネーションを

愛しそうな目で見ている男の姿が

綺麗で、その場に立ち尽くすように

見つめてしまっている自分。


そんな私に気づくと

少し笑ったように立ち上がり
私の前に来ると、


「お疲れ様。一緒帰ろ?」


そう言いながら手を差し出した。
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