Witch and Vampire ―恋物語―
「あっれー、ナイト、久しぶりだねー。」
「お前、今までどうしていたんだ?」
クラの笑みが恐ろしかった。
「悪魔族の幹部にして、高い知能を持つ。化けるのが得意。象徴はカラス。」
そう小さく呟くソラの声はクラには聞こえてはいないのだろうか。
「いやー、いろんなとこ行ってたら、何週間も時間がたっちゃってさー。」
そう言って、薄く開いたクラの目には殺意しかなかった。
「でも、目的のものは手に入ったからいいや。」
「目的のもの?」
「せいぜい残りの人生を楽しんで。」
そう言うと、クラは一瞬にして消えた。
廊下に明かりが戻ったが、なにか重大なことを忘れてしまっていたことを物語っていた。
机の上にあった禁書二冊がなくなっていたのである。