Witch and Vampire ―恋物語―
俺とソラはソファーのある部屋へと移動した。
どうやらクラはみんなを眠らせていたらしい。
全員自分の持ち場で眠りこけていた。
「なんだか急に眠気が襲ってきてしまいまして・・・。」
クラが魔法かなにかをかけたのだろう。
とりあえず俺はソラに説明をするためにテラを呼んだ。
暖炉のあるぬくぬくとした部屋で、俺は用意をしてもらった紅茶を一口飲むと、説明を始めた。
「禁書というのは、命を削る、殺す、呪いといったものの魔法を納めている本なんだ。
他にも時間を変えるものだったり、成長を遅らせる魔法があったり、するのもある。」
「つまり、周り、または特定の人物に対して重い魔法をかけることができる、ということだな。」
「そうだ。今までの歴史の中で使われた有名なものは、百年の呪いの魔法だ。」
「あの、呪い?」
「そうだ。今では知らない人はいないだろ。」
「その魔法は、どうやってかけるんだ?」
「古式で大きなものなんだ。だから、基本的に魔方陣と呼ばれる模様を書いたあと、生け贄、もしくは対価を払うことになる。」
「対価?」
「話では、魔法をかけた王様は残りの寿命の半分を支払ったという話だ。」
「そうなのか。」
「この屋敷は、魔法がかけられていてな、敵が入れないような仕組みになっていたんだ。」
「屋敷全体に一つ、部屋に一つ、禁書がありました部屋にはさらに強い魔法がかけられており、禁書自体にも結界がはられておりました。」
そう説明するテラ。
「おそらく、クラがずっと前から俺に近寄ってきたのもそのためだろう。わざわざ俺の記憶まで弄ったんだからな。」
つい一年前についてくるようになったクラがずっと前から一緒に過ごしていたかのように記憶を書き替えられていたのだ。
「長い時間をかけて、ゆっくりと結界を解いていっていたのでしょう。」
「クラウディスは、何をするつもりなんだ?」
「ずっと前に聞いたことがあるんだ。」