Witch and Vampire ―恋物語―
俺が小さい頃、祖父から聞いた話だった。
「じい様、悪魔って戻ってきたりしないの?」
「戻ってくることもあるぞ。」
「そうなの?」
「ナイトには、関係ないことかもしれんが、呪いの年、悪魔の力が強くなる時期がある。その間にやつらが魔力を溜めておくと、わしらのいう、呪いの日。あることができるようになるんじゃ。」
「なにー?」
「魔力の解放。」
「まりょくのかいほう?」
「そのためには、年頃の娘が生け贄として必要になってくるんじゃ。」
「止められないの?」
「その魔力の解放をする前に、悪魔の長を倒し、封印することが大切なんじゃ。」
「なんか、大変だねー。」
そのとき笑って流していた話が今本当になろうとしていることに衝撃を隠せない。
「完全な復活。そういうことだろうな。」
「悪魔がまた復活するとなると、厄介なことになるでしょう。」
「つまり、禁書にはそれについてのすべてのことが書いてあったということだな?」
「そうなんだ。」
するとソラは目をゆらゆらと動かすと、
「わかった。」
そう言って、部屋から出ていった。
ずっとソラに握られていた左手が急に寒くなった気がした。
「主。彼女には聞かなくてよかったのですか。」
「なにをだ。」
「わかっておいででしょう。」
俺も、ソラが悪魔について調べていたこと、そしてなにか重要なことを証していないことには感づいていた。
でも、ソラの過去のこともあり、なんとなく聞きにくかったのかもしれない。
「ソラがきっと話してくれる。」
しかし、悲劇は突然訪れるものだ。