Witch and Vampire ―恋物語―
次の日。

俺はソラとテラと三人で橋の向こうの町、ガーメルデンに出かけた。

あまりヴァンパイアは人間側へ行ってはいけないのだが、免許を持っている場合は話が別だ。

これがあるだけで、ヴァンパイアがどこにいるのかがすぐにわかる。

簡単な魔法がかけられているのだ。

他にも夜間の出入りは禁止だったりと色々なルールがある。

しかも、その免許は試験を受けたものしか持てない仕組みになっている。

問題を起こした場合、すぐに橋のところの役人が捕らえに来るので、被害はゼロに近い。

人間も同様だ。

人間の場合は免許が必要ない。

徹底した決まりのおかげで、以前はあった誘拐なんかも今ではない。

長い間人間側に滞在しなくてはいけないときは、また違う免許をとらなくてはいけないので、滞在する人は少ない。

ちなみに魔女なんかは、魔力を持ってるだけなので、そういう決まりはあまりない。

「すごいな。町というのは。」

ソラが目をキラキラさせながら言った。

「こちら側の森にはあまりないですからね。」

テラの言葉遣いが、前に比べて多少砕けたものに変わっていた。

俺は以前テラがソラのことを

「新しい娘ができたみたいです。」

と嬉しそうに微笑んでいたことを思い出した。

ちなみにテラの見た目は人間でいうきれいなお姉さんだ。

茶色のふんわりとした髪。

皺のない顔。

姿勢もいい。

そんなテラを112歳だなんて言ったら誰が信じるだろうか。

彼女は美魔女とは言われるが、多少魔力はあるものの、ただの人間だ。

112歳でこんなな綺麗だったらもうホラーに近い。

だがそんなことを感じさせないのがテラのすごい部分なのかもしれない。

ソラに言ったら何て言うだろうか。
< 104 / 131 >

この作品をシェア

pagetop