Witch and Vampire ―恋物語―

「この曲は子守唄なんです。歌詞が面白いのですよ。」

宇宙にある

薔薇咲く

庭の

いつまでも

瑠璃の涙

夜に瞬く

「不思議ですよね。こんな変な歌詞でも皆すぐに寝てしまうのです。」

「あ、知ってます。それ。」

思い出した。

昔誰かが俺に歌ってくれていた。

「そうなのですか。」

軽く微笑むデミア。

すると、曲が止まった。

俺はその場から少し離れる。

「あら、買わないのですか?」

俺はデミアからの問い掛けを無視すると、店の恥の方に置いてあった可愛らしい髪飾りと、さっきのオルゴールを持ってレジへと持っていった。

「きっと何かのヒントになると思いますよ。」

デミアは素早く袋に入れると俺に渡しながらそう言った。

「ヒント、ですか。」

デミアは微笑みながらお辞儀をすると、店の奥へと消えていった。

俺は店に気配が無いことに気がついた。

「誰もいないだと?」

俺は急いで店を出ようとした。

が、甘い匂いが俺を惑わせる。

目眩がする。

俺はやっとのことで店を出た。
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