Witch and Vampire ―恋物語―

カランカラン

ドアベルが鳴る。

太陽が南の方角にあった。

と、ここであることに気づく。

入った時に鳴らなかったドアベルが何故鳴るのか。

店に入る前は東の方にあったはずの太陽が何故南中にあるのか。

「あ、いた。」

道の向こうから可愛らしく着飾ったソラがやって来た。

「もう、どこに行ってたんだよ。」

笑いながらやってくるソラ。

後ろからもテラがやって来た。

「ソラ。俺が別れてからどのくらい時間が経つ。」

「大体、4時間くらいか?」

長くても30分くらいだと思っていたこの買い物がどうしてこんなにも時間が経っているのだろうか。

「ナイトさんが遅いから、いろいろ買っちゃった。」

「ん。それは別に構わない。」

「主。どこにいらしていたのですか。」

俺は何故テラがこんなことを聞くのかよくわからなかったが、

「あぁ。この店に・・・。」

俺はぎょっとした。

先程まであった店が無くなっていたのだ。

「どうした?」

「さっきまであったのに・・・。」

俺の手には先程買った商品がある。

夢を見ていたというのはまずありえないだろう。

店があった場所には小汚いベンチがあるだけだった。

「ん?」

俺は何かが落ちていることに気づく。

それは黒い花だった。

その下には紙があり、何かが書いてあった。

あなた様に幸せを

一体どういうことなのか見当もつかない。

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