Witch and Vampire ―恋物語―
俺はカメラの向こう側に置いてある椅子に腰かけた。
「ソラも来い。」
「テラも一緒に。」
「いえ、私は。」
「いや、せっかく来たんだから、撮ろ?」
ソラは困惑顔のテラを連れて来た。
「ナイトさんもいいよな?」
「問題ない。」
軽く微笑みながら答える。
ずっと昔から付き添ってきてくれたテラだが、毎回写真を撮るときは荷物を持って立っているだけだった。
この機会に写真として残しておけるのなら、好都合だろう。
「そうか。お前さんも入るのか。ヨーデル。荷物を受け取ってきてくれ。」
すると、十代前半くらいの男の子が出て来た。
テラと俺から荷物を受け取ると、じいさんの後ろへと戻った。
「ついこの間尋ねて来てな。弟子になりたいといったんだ。もうわしもこの年だから、ついOKと言っちゃったんじゃ。」
けっけっけっと笑うじいさん。
ヨーデルと言われた少年は照れくさそうにはにかんだ。
「親もいないらしくてな。ついでにうちで預かってるんじゃよ。」
「そうなのか。」
「もし、わしが死んだらこいつを頼むな。」
「じいさんが死ぬときはお祝い事がなくなった時だよ。」
「そうかい。」
けっけっけっと笑う。
「よし。準備が出来たぞ。」
俺は姿勢を正した。
「じいさんの指示通り動いていれば、大丈夫だ。」
俺は小さくソラにそう告げた。
「じゃ、このレンズの方を見な。絶対目を閉じるんじゃないぞ。」
「レンズ?」
「あの飛び出てるガラスみたいなやつだ。」
俺はソラにそういった。