Witch and Vampire ―恋物語―
「口角を上げて。首は傾げるんじゃないぞ。そのままだ。よし。撮るぞ。」
じいさんは黒い布をかぶって、構えた。
ヨーデルがライトをつける。
「いくぞ。3、2、1。」
光がカメラの方から放たれた後、少し遅れて
パシャ
という音が聞こえた。
「目、つぶってないよね。」
ヨーデルが聞く。
高いけれど、少し大人びた声だった。
「あ、あぁ。どうにか頑張った。」
目をぱちぱちさせながらソラが言う。
「なんで周りが白いんだ?」
「強い光が目にきてびっくりしてるんだ。」
ヨーデルが説明してくれた。
本を読めばそれについて詳しく書いてあるだろう。
「よし。お疲れ様。ついでだから、もう一枚撮ろうか。」
「いえ、ダダン様。そんな・・・。」
テラが遠慮した。
しかしじいさんも譲らない。
「フィルムがあと一枚で無くなるんだ。面倒だから、撮られろ。」
じいさんは笑いながら次の写真を撮る準備を始めてしまう。
「テラは写真が嫌いなのか?」
ソラが心配そうに俺に聞いてきた。
「多分、撮られなれてないだけだと思うから、大丈夫だ。」
「そうか。なら安心だ。」
ほっとしたようにソラが言った。