Witch and Vampire ―恋物語―
一口サイズにちぎって食べる。
生地はやっぱりふわふわで、噛むたびにもちもちしてくるのがおいしい。
バターをたっぷり使っているのか、風味がすごい。
周りは少しカリッとしていて、思わず笑みが出るパンだった。
「うまいな。」
そう言いながらソラを見ると、物欲しそうな目でこちらを見ていた。
「わかったよ。」
俺はちぎってソラにあげる。
「ナイトさん、ありがとう。」
少し驚いた顔をした後、おいしそうに食べるソラ。
いや、お前が欲しそうな目で見てたから、あげたんだが・・・。
俺はほぼ全部食べ終わった後、最後の一口を、
「テラ、いるか?」
「え、よろしいのですか?」
テラにあげた。
俺は満足だった。
またここのパンを買ってきてもらおうと思った。
「それじゃ、帰るか。」
「あ、ちょっと待って。さっき欲しいなって、思ったのが・・・」
ソラが言い終わらないうちに橋の方で大きな爆発音が聞こえた。
キャーという悲鳴とともに、人間がこちら側へ走ってくる。
「何か、あったのか?」
ソラが心配そうに俺を見た。
すると、もう一回大きな爆発音が聞こえた。
「俺は様子を見てくる。テラはソラと一緒に居てくれ。」
俺は加速の魔法を足にかけると、橋へと向かった。