Witch and Vampire ―恋物語―

だが、ソラの暗唱は終わっていた。

魔力を体から放出し、カーディンの足元に魔法陣を展開させた。

「こ、これは!?」

「地の底へ堕ちろ!」

そう言うと、魔法陣が輝きだし、カーディンの体が石へゆっくりと変わっていった。

「くっそぉおおお!!!」

カーディンは叫ぶと、刃物を出現させ、飛ばし始めた。

俺は初めは避けていたものの、先ほどカーディンを攻撃したとき魔力を使い切っていた。

頬を刃物が掠めた。

肩を通過し、脇腹に刺さり、左の太ももにも刺さった。

と、ここで気づいた。

カーディンがソラに向かって手を突き出し、大きな剣を出現させた。

「ソラ、逃げろ!」

しかし、まだカーディンは石像になりきっていない。

あれは大掛かりな魔法で、本来は三人で行うものだ。

今意識を違うものに変えると、自分が怪我をしかねない。

そのため、俺の声にもカーディンの動きにも気づいていない。

俺が助けに行くしかないのだ。

「くそ!」

俺は足をズルズルと引きずりながらソラへ向かう。

距離は約30メートル。

カーディンは石像になりつつあるため、動きが遅い。

どうにか間に合う。
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