Witch and Vampire ―恋物語―

暗いところから急に引っ張られたように、周りが、音が、鮮明になってくる。

「・・じ、主、聞こえますか。返事をしてください。」

薄く目を開けると、テラと青年が俺の顔をのぞき込んでいた。

「・・・げほっげほっ。」

咳き込む俺を見て、二人は安心そうに息を吐いた。

「ルーク様が急に私を大声で呼ぶものですから、驚きました。」

「僕だって驚いたよ。急に苦しそうに呻くんだもの。」

俺はなんのことだか、さっぱりわからなかった。

「主。ひとまずお休みになってください。時間はあります。」

そうテラは言うと、俺に布団をかけた。

俺はやはり疲れていたのだろう。

深い眠りについた。
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