Witch and Vampire ―恋物語―
これらの写真でわかったことは2つ。
1つ目はルークとは昔からの知り合いだということ。
2つ目は顔がよく似ているということ。
「...もしかして、」
俺がテラの方を見ると微笑んだ。
「ええ。主のお兄様でございます。」
すると、突然ドアが開き例の青年が入ってきた。
「ごめんね。ちょっと仕事が長引いちゃって...」
笑顔で入ってきた彼は俺の方を見ると次に腕につながっている物体を見た。
「えっと、大丈夫なんだよね...?」
心配そうにテラに聞く。
だが、その質問にテラは答えず俺に言った。
「改めまして。こちらがルーク様、主のお兄様でございます。」
「え、ちょ、無視は酷いって...。」
俺と似たその風貌は確かに兄弟と言われても納得ができるが、まだその実感がない。
「兄貴、でいいんだよな...?」
ルークをまじまじと見つめる。
「はぁ...上目遣いとかやめろよな。」
優しく笑ったルークは俺の頭を優しく撫でた。
なんだかそれがあったかくて、少し照れくさくなった。
だが、残念なことに昔の思い出は全く思い出せない。
それだけが少し残念だった。
クラと小さい頃からいたという記憶が存在したことから、もしかしたらルークとの記憶を消されていたのかもしれない。
「まあ、僕はこの写真を最後にナイトとは会ってないからね。」
「そう、なのか...。」
この頭を撫でられている写真だろうか。
すると突然右耳に息を吹きかけられた。
「ふぁっ!?」
びっくりしてそちらを向くとルークがクスクスと笑っていた。
「やっぱり耳が弱いんだな。」
「う、うるさいな...。」
ルークは軽く微笑んで、
「そんな悲しそうな顔するな。ゆっくり思い出していけばいいし、新しい思い出を作ればいいだろ?」
「あ、ああ。」