Witch and Vampire ―恋物語―
そんなこんなで談笑をしていると、咳払いが聞こえた。
「そろそろよろしいですか?」
「あ。すまん。」
すっかり忘れてたなんて言わないがきっとお見通しだろう。
「えっと、どこからだっけ。」
テラは小さくため息をつくと話し始めた。
「ルーク様が即座に対応してくださったので、すぐにお二人を病院に運ぶことができたところからです。」
「あー。あれはたまたま僕がすぐ近くでお医者さんと立ち話してたからだよ。」
「なんで医者と立ち話なんてしてるんだよ...。」
「実は学校の事務の先生が腰痛で休んでたからそのことでちょっと相談をね...。」
「主が倒れた後、ルーク様がお医者様を連れてきてくださったためすぐに処置をできました。」
「ソラ君は止血をするだけで済んだんだけどナイトは酷かったからね。もう助からないかと思ったんだけど、」
そう言って例の小瓶をとった。
「彼女の近くにこれが置いてあってね。ちょっと不安だったんだけど、飲み薬だってことだけ確認してちょっとだけ飲ませたんだ。」
「え...。」
最悪死んでたじゃん。毒で。
「まあまあ。そしたら流れ出てた血が止まってね。魔法でちょっとここまで運んだんだ。」
それはすごいが...
「魔法が使えるのか!?」
「そりゃ、僕だってこっちの人間だもの。ナイトだって使えるでしょ?」
「そう、だが...。」
魔法を使えるヴァンパイアは極少数。
しかも多くの本を読んで習得する魔法がほとんどでかなりの体力、魔力、集中力を使い、完璧に発動できるまで数年かかるといわれている。最悪体が悲鳴をあげて魔力の底が尽きるということも聞いたことがある。
そうなるともう魔法はだせない。
テラやルークには内緒だが、俺が使っている魔法は禁書と呼ばれる習得するまで日数はそうかからないが、威力が強く、体への負担がとても大きいものだって存在する。
そんな感じだから魔法を使うヴァンパイアはまずいない。