coffee time
ぎゅっと…肩を寄せられた。

私は目を閉じたまま、
缶コーヒーがこぼれないように…
意識を缶コーヒーに向けていた。

そっと髪を撫でられた。
あまり長くない私の髪を
耳にかけたり、軽く引っ張ったり
それも、心地よかった。

「…誘ってるの?」
と泰輔くんは聞いてきた。

私は笑わないまま…答えた。
「…誘われてると思った?」
「うん。…誘われてると…思う。」

寄りかかっていたのから離れて
静かに泰輔くんをみた。

「…誘ってるのかもしれない。」
と言いながら、目を閉じて…
私は私から静かに、キスをした。

「なんで、私が…
誘ってるって分かったの…?」

「いつも、俺のこと見てただろ?」

自信満々で答える泰輔くんをみて
クスリと笑ってしまった。
私が、泰輔くんを見てたのかな。

「自分でも気づかなかった。」
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