coffee time
エンジンの音で心臓の音が
聞こえなくてよかったと思った。

好きになるのはいつも年上で
大人で…憧れで…眩しい男性で
私からいつも追いかけていた。

こんな風なの、初めて。

風と車の間をぬって、
目的地に着いた。

ヘルメットを取って髪を揺らした。
「ココなの。すっごくおいしいの。」

私の家の最寄駅からすぐの
小さくて古いラーメン屋サン。
その駐車場に単車を停めた。

泰輔くんの顔を見たら、笑ってた。
「亜季、ラーメンとか食べるの?
高級店に行くのかと思った。」

「だから、亜季って…まぁいいか。
大学じゃ言っちゃダメだよ。
私は事務員なんだから。
あなたは大学の学生で…。」

「行こう。亜季。」
差し出された手をそっと握った。

お店に入ると男性ばっかりで
ジロジロ見られてしまった。
気にせず歩いたけれど…
私達はどう見えるんだろ。
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