レース越しの抱擁
レース越しの抱擁
高級マンションの最上階。そのとある一室は、大量のプレゼントが嵩張っていた。
有名ブランドのロゴ入りバック。毛皮のコート。ワインレッドのドレス。エメラルドグリーンのイヤリング。パールのネックレス。ワンピース。ブレスレット。
どれをとっても有名店の物で高価な品ばかり。中にはオーダーメイドの物もある。しかし、きらびやかなプレゼントには目もくれず、窓際のレースに包まる女が1人。
「イヴ、何が不満なんだ。」
「プレゼントなんて要らないわ!」
「要らないって…全部お前が欲しいって言った物だろ。」
「いつの話をしてるのよ!一々過去の話を掘り返さないで!」
「ほんの一ヶ月前の事なんだが、」
一向に姿を見せようとしないイヴに溜め息を付く。今年――否、今日で25歳になるイヴの誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントを兼ねて高級品を用意した。
が――しかし。
イヴはプレゼントを受け取らない。それどころか自分を拒絶し、白いレースに包まってしまった。
一体何がイケなかったのか。イヴが欲しいと言っていたブランド品を今日のために買い漁り、捧げたのに、何故か怒らせる羽目に。
色がイヤだったのか。それとも違う物が欲しくなったのか。それなら今すぐに買いに出直す。そう男が言うと―――‥
「キラは何も分かってないわ!」
イヴは、プレゼントされたローズピンクのハイヒールを投げつけた。
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