君の笑顔
再開
「何泣いてんだよ紗綾。目ぇ真っ赤だぞ」
目の前にいる”彼”はお腹を抱えて笑っている。
あれ?私って視力悪かったっけ?
目をこすってもう一度窓のほうを見る。
やっぱり”彼”はいた。
私は知っている。
男子にしては少し長めの髪の毛にキリッてした眉と目。
そしてどんな音にも勝る高すぎず低すぎずの声。
「嘘………凛、君?」
「それ以外の人に見えるか?」
「見えない!」
「だろ?」
どうして凛君はここにいるんだろう。
だってさっきまで私は凛君の葬式にいた。
だから今もやっている最中のはず。
死んだ人にしかやらない儀式………。
「凛君………し、死んだんじゃなかったの?」
恐る恐る言うと凛君は顎に手を当てて考える。
「そういえば死んだっけか」
「なら、どうしてここに…」
「紗綾に会いにきた」
あぁ、この笑顔は凛君だ。
ついさっきまで泣いていたのにもう笑ってる。
やっぱり凛君は皆を笑顔にする魔法を持っているんだ。