いとしのトナカイくん
「ちょっ、来んな!! わかったから、来んな!!」
「ホラ、手、放したから、な!! な!?」
完全にビビっているふたり組は慌てたようにそう言うと、あたしを解放してそそくさと逃げて行った。
残されたあたしは、ポカーンと間抜けにもトナカイ(頭部だけ)から目を離せずにいて。
ゆっくりとこちらに近付いてくるトナカイを、ただただ黙って見つめていた。
「……トナカイ?」
「………」
いつの間にかあたしは、地面にへたり込んでしまっていたらしい。
トナカイが伸ばしてきた手のひらに、無意識にもそっと自分の右手を重ねると、思ったよりも強い力で引き上げられた。
その、重ねた手に。なんだか無性に、感動してしまう。
……うわ。人間の手、だ。
長くてゴツゴツしてる、男の人の、手。
「………」
やっぱりトナカイは、何も言わない。
だけどもつながった手が、とてもあたたかくて。
なんだかすごく、胸の中がほっこりして。
「ホラ、手、放したから、な!! な!?」
完全にビビっているふたり組は慌てたようにそう言うと、あたしを解放してそそくさと逃げて行った。
残されたあたしは、ポカーンと間抜けにもトナカイ(頭部だけ)から目を離せずにいて。
ゆっくりとこちらに近付いてくるトナカイを、ただただ黙って見つめていた。
「……トナカイ?」
「………」
いつの間にかあたしは、地面にへたり込んでしまっていたらしい。
トナカイが伸ばしてきた手のひらに、無意識にもそっと自分の右手を重ねると、思ったよりも強い力で引き上げられた。
その、重ねた手に。なんだか無性に、感動してしまう。
……うわ。人間の手、だ。
長くてゴツゴツしてる、男の人の、手。
「………」
やっぱりトナカイは、何も言わない。
だけどもつながった手が、とてもあたたかくて。
なんだかすごく、胸の中がほっこりして。