【短編】HONEY DROP
どれくらい時間が経ったのかわからない。
先輩がスッと立ち上がる。

「……さてと」

背伸びをして、こちらを振り向いた。
ああ、もうそんな時間か。
私は少し…寂しい気持ちになった。

「帰らなきゃ。……またね」

先輩は微笑んで、私の頭を撫でて立ち去った。

バタンッ

扉が閉まる音は私の心の中に寂しさをまた、掻き出す。
私は微かに、先輩の温もりが残ってる頭に手を置いた。
先輩と別れる時は1番、寂しい。
だけど。

“またね”

佐倉先輩は必ず、そう言って去っていく。
だから、寂しくも嬉しさが込み上げてくる。
また明日も、先輩に会えるんだって……。
私は嬉しそうに微笑みながら、オレンジがかかる空を見上げた。

「またね、先輩」



先輩と後輩。
きっと佐倉先輩は、私との関係をそう思っているだろう。

いつか、私の想いが届く日は来るのかな…?

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