【短編】HONEY DROP
2.初デート
「え?」

多分、今の私のはマヌケな顔をしていたと思う。
だって……佐倉先輩が言った言葉に、驚きを隠せない。

「だから、妹の誕生日プレゼント買うの……付き合ってくれないかな? 妹がうるさくて。俺、女の子の趣味なんてわからないし」

そう先輩は、頭を掻きながら苦笑して言う。

「先輩、妹さんいたんですか?」

「ああ。……一応ね」

…あれ?
気のせいだろうか。
先輩の顔が一瞬、悲しそうな顔をしたのは。
そして先輩は、私の顔を不安そうな表情で見てくる。

「ダメか?」

「えっとぉ……」

ここで断ったら、後々後悔する気がする。
それにこれは、めったにないチャンスかもしれないっ。
きっと神様がくれたチャンスだ!
私はそう心の中で喜び、満面の笑みで返事をした。

「いいですよ!」

「ホントかっ? 良かったぁ」

先輩は胸に手を置き、安心しきってるようだった。
…そんな先輩を見て、私は可愛いなぁと笑っていた。

「じゃあ、どうしようか?」

それから先輩と、待ち合わせや時間などを決めて。
佐倉先輩は去っていた。


――私の手にまた、あのハチミツ飴を残して。

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