【短編】HONEY DROP
――デート当日。

いや別に、デートってわけじゃ……。
陽子がデートってうるさいから。
…まぁ、かなり早く起きて準備する私はどうかと思うけど。

「……これ、本当に着るの?」

手にある花柄のワンピースを見て、私は苦笑する。
昨日陽子が家に来て、服をかなり真剣に選ぶことに付き合わされた。
ウチはいいって言ったのに、聞かないし。
何で私よりも陽子の方が張り切ってるのよ。

このワンピースは、前に無理矢理陽子に買わされたもの。
普段私はワンピースなんて全然着ないし、楽なパンツスタイル。
これだって一回も着たことない。

「まさかこんな時に、着るなんて思いもしなかった……」

そう言ってため息をついた。

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