【短編】HONEY DROP
……一方、教室では。

「あーあ、かえちゃった」

麻美が出ていったドアを見ながら、呆れたように話した。
健吾はムスッとした顔を出してる。

「なぁ、陽子」

「何?」

不機嫌な声で、話し掛ける。
そんな健吾にも動じず、健吾を見ないまま返事をする。
勘のいい陽子は健吾の言いたいことをわかっていた。

「お前、俺に冷たくないか…?」

「……………」

陽子はちらっと横目で、健吾を見る。
健吾はこちらを見ていたようで一瞬、目が合った。
だが、すぐに目を逸らし、またドアの方を見た。

「……さあね」

クスッと笑った。

(……あの様子じゃ……まだまだ、みたいね。)




ガチャッ

その扉を開くと、心地良い風が頬を撫でる。

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