【短編】HONEY DROP
ここは屋上。

「……気持ちいい」

ぐっと背伸びをして、深呼吸をする。
新鮮な空気が、肺の中に入ってきて、私の気分は楽になる。

「麻美か?」

ふと、自分の名前を呼ぶ声。
私はその声に一瞬、心臓が跳ねた。
この声は……よく知っている。

“あの人”だ―――。

私は声がした方を振り返る。
だがそこは壁で死角になっていて、“あの人”の姿は見えない。
ゆっくりと足を進めて、死角で見えないとこへ移動する。
…そこに、“あの人”を見つけた。

「……佐倉先輩?」

“あの人”……佐倉先輩は壁にもたれ掛かって、座っていた。
佐倉先輩は私に気がつくと、にっこりと微笑んでくれた。

ドキンッ

いつもの、先輩。

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