【短編】HONEY DROP
「ここにおいで」

佐倉先輩は優しく声を掛け、自分の隣を指差す。
私はちょっと顔を伏せて、遠慮がちに先輩の隣に座った。
先輩がクスッと笑ってるのがわかった。
ほどよい距離を離れて、先輩の隣に座っているのに……。
先輩がいる左肩が、熱かった。

「……麻美は、屋上好きだね」

「はい。空に1番近くて、それに、先輩もいるし……」

私は照れながら微笑むように言った。
佐倉先輩も、微笑み返してくれる。
そんな先輩にまたドキッとし、顔を逸らす。
本当に先輩は……いつもカッコイイ。
かっこよくて、だけど綺麗で、オマケに優しくて。
…ズルイ。

「麻美」

「…はいっ?」

突然に名前を呼ばれ、慌てて遅れて返事をする。

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