あまーいトリックオアトリート!
「いった……」
私は、隆太君の口にイチゴ味のアメ玉が入っている小さな袋を押し付けた。
「今年は、ちゃんと持ってきたよ。隆太君」
私がちょっとイタズラっぽく笑うと。
「………………」
隆太君は、ムスッとして、私のアメ玉を渋々貰っていた。
そんな拗ねている所が、可愛くて。
隆太君は、アメ玉を口に含んだ。
「……美味しい?」
「…うん。…凄い…甘い……」
「良かっ……、んっ……」
私が、気を抜いた隙に。隆太君が、私にキスをした。
レモン味とイチゴ味の香りが、ほんのりと重なる。
「去年、お菓子貰ってないから。去年の仕返し」
「……参りました」
真っ赤な顔をして、私は隆太君に視線をうつした。
「僕の勝ち」
そう言って、隆太君はニッと子供っぽく笑った。
「……優未。…帰ろっか…。…家まで送るよ」
「……うん。ありがとう、隆太君」
私と隆太君は、鞄をもって夕陽に照らされている学校から出た。