あまーいトリックオアトリート!
帰り道。隆太君は、空を見上げながら、呟いていた。
「来年は、どんなイタズラしようかな……」
来年のハロウィンも私と一緒にいるって想像を隆太君は何気なく考えてくれる。
それだけで、私の心は温かくなる。
「優未は、どんなイタズラしてくるの?」
「…うーん……。隆太君が、また次の年も私と一緒にいたいって思ってくれるような、イタズラかな…」
…それは、どんなイタズラか。まだ分からないけど。
「そっか……。じゃあ、僕は…」
隆太君は、ちょっとうつむいて。
「……ずっと僕の隣にいたいって思ってくれるような、イタズラにする」
夕陽のせいなのか、隆太君の顔が真っ赤に染まっていた。
思わず、私の顔が真っ赤になる。
「「………………」」
私と隆太君は、無言で歩道を歩く。
「……優未」
「……なに?」
「ずっと僕の隣にいてほしい」
「…………うん。私も、隆太君にずっと私の隣にいてほしい」
私と隆太君は、自然と手を繋いだ。
───ずっと、こうして─
──隆太君と一年に一回だけの─
─ハロウィンを過ごしていきたい─
─君にあまーいトリックオアトリートを─