あまーいトリックオアトリート!
「トリックオアトリート……」
ボソッと、田村君が呟く。
「へ?!」
「イタズラ…されたいの?」
「で、でも…。私、今、お菓子持ってない……」
ど、どうしよ……。
「…口の中に、はいってるじゃん…」
「へぇ?!」
「それで良いよ」
「…た、田村君?!」
「ほら、ちょっと顔近付けて」
「…へ…へ…へ……?!」
嬉しいような、恥ずかしいような事態に、私は混乱する。その間にも、田村君は私に近付いてきて。
ハッと気づいたら、私は田村君にキスをされていた。
「……ちょっと、アメちょうだいよ」
いつも通り、無表情で田村君は私の顔を覗き込む。
「…………ほぇー」
私の頭は、思考停止中。