あまーいトリックオアトリート!
「……………………」
こ、これは夢なの?!なんなの?!
…口の中の、イチゴの香りだけが現実だと教えてくれる。
「返事…聞かせてくれるかな?」
「よ、よろ…よよよろし…。よろしくてよ!」
…へ、変な返事しちゃた……!!!
一瞬、2人の時間は止まる。
「ふふっ………。…じゃあ、また明日ね。優未」
「は、はい!」
田村君は、私に触れるだけのキスをしてから。ニヤッと笑って、家の中に入っていった。
「は、初めて名前で呼ばれた……」
私は、その場でしゃがみこむ。そして、赤く熱くなった顔を両手で隠す。
口の中に広がるイチゴの甘さのキスと共に。ハロウィンの魔法のようで魔法じゃない1日は終わった。