どうしてこうなるの?私達の日常生活

「これでよしっと。」

進が、あやめの右足に自分が着けていた青いハンカチーフを巻いていた。

「進さん?」
「こんなかわいいハイヒールに包帯はないかなって思って(笑)」

包帯を隠すかのように巻かれ、結び付けられたハンカチーフ。その色とあやめが履いて来ていたハイヒールの色と見事にマッチしていた。

「よかったわね、あやめ。」
「ありがとうございます(泣)」
「も~、今泣いたらメイク崩れちゃうでしょ(怒)」
「すぐ直せますわ(泣)」
そんな姉妹の会話。それとは別に男同士でこんな会話がつり広げられる。
「でも、すごいアイデアだね。」
「そうっすか?」
「うん。思いつかなかったよ。それに配色もばっちりだし。」
「昔取った杵柄っすよ。」
「なんかやってたの?」
「ちょっとバイトで(笑)スタイリスト的なことしてたんで。」
「そうなんだ。」

進の意外な過去に驚いたジェイン。そんな事を気にも留めず、進は立ち上がると「先に会場行ってるね。」と言いながら医務室を後にした。


披露宴は、立食式でゲストには、シャンパンが振舞われ、アットホームな空気が流れていた。

「あっ!進!!」

進の姿を見つけた城島は、進を呼び寄せてあやめの事を聞く。

「あやめちゃん大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫。ちょっとくじいてるっぽいけど(笑)あっ、落ち着いたらこっち来るって。」
「よかった(泣)」
「ちょ、何で泣いてんだよ桜ちゃん(驚)」
「そんなにメイク崩したいの?」
「そんな花嫁いる訳ねぇだろ、守(怒)」
「そうですよ!だって、ずっと心配だったんだもん。」
そんな会話の中、ジェインと小中に付き添われるようにしてあやめが会場に入ってきた。

「大丈夫?」
「はい(笑)ご迷惑をお掛けしてごめんなさい。」
「この子どんくさい所あるから、心配しないで。あと、あんたの弟さんに礼言っといて“いろいろありがとう”って。」
「う、うん。」

そこには、いつの会社で繰り広げてきてた二人の雰囲気はなかった。

「すいません、お写真いいですか?」

カメラマンに促されるかのように、城島と桜を囲むようにしてジェインと小中、進と守、そしてあやめが一枚の写真に納まった。


< 284 / 286 >

この作品をシェア

pagetop