どうしてこうなるの?私達の日常生活


「もうさ・・・見たくないんだよ、桜を憎んだり、僻んでるお前を。」
「あんたに何が判るの?」


ジェインを突き放して助手席に座りなおした小中はそう口走る。そしてこう続ける。


「入社した時からそうだった。どんなにがんばっておしゃれをしても、気を使っても、何をしても、みんな!みんな!みんな!小島桜が可愛いだの、綺麗だの、みんなチヤホヤして!あんただってそうじゃない!あんただって小島桜がいいんでしょ!」


「確かに、桜はみんなからモテてたよ。容姿だって、女子力だって申し分ない。でもな、俺はお前と一緒にいて判ったんだよ。お前だって可愛い!それにやさしい。それを知ったらさ・・・なに言われようが、何されようが構わなくなってたよ、それくらい俺はお前が好きだ。」


「やさしい?誰かさんと間違ってるんじゃないの?」
「違う(怒)お前一回弁当作ってきたことあったろ?俺が残業してた時。」
「そうね、そんな日もあったわね。」
「その時さ、お前、わざと俺の嫌いなピーマン食わそうとしたじゃんか・・・。」
「嫌がらせにね。」
「損ときおまえ何って言ったか覚えてるか?」
「さぁ・・・。」
「“食べなさいよ。食べないと元気にならないんだから。”ってさ・・・」
「普通じゃない。こういう関係になったら社交辞令みたいなものでしょ?」
「そん時のお前の顔、いつもと違ってすごく優しくってさ・・・ちょっと惚れたんだそれで。違う一面見た感じになってさ・・・。」

その言葉から、車の中が無音になった。口論はなくなり、音がなくなっていく・・・ただじっと下を向く小中。髪の隙間から少し見える耳はほんのり紅く染まっていた。そんな小中をただ見つめるジェイン。

少しの沈黙を破ったのは、ジェインだった。


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