甘い恋の始め方
どうしても離れてくれないその幻影に、理子は目を閉じた。

「この香り、好きですか?」

目を閉じたのはリラックスしたのだと思われたよう。

「仕事関係のパーティーでもらったんです。あのとき、捨てないで良かった」

「……仕事のパーティーで?」

「ええ。ここの会社のシステムをわが社が提供したんです」

そう聞いて理子のこわばった肩が緩んだ。

「理子さんが気に入ったのなら、切らさない様に買っておきましょう」

悠也は柔らかく口元に笑みを浮かべ、理子を自分の腕に引き寄せた。

そこからは、他の女性など思い悩む余裕などなく悠也に翻弄されていく。

バスルームで愛され、ベッドルームに戻ってからも飽くことなく翻弄され、理子は悠也からもたらされる快楽に身を委ねた。


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