甘い恋の始め方
「本当ですか?」

「もちろん。そう思わなければ君と会っていないでしょう。君も同じ気持ちだと嬉しいが」

「私の気持ちも……同じです」

「俺たちの関係は一歩ずつ、近づいていますね?」

悠也に柔らかく微笑まれ、理子の心配事がスッと消えていく。

(私ってなんて単純なんだろう)

「私が空港まで見送りに行ってはだめですか? 部屋に戻ってもやることがないし」

「見送りですか、嬉しいです」

(一歩ずつ近づいたら……結婚が見えてくる?)

******

食事が終わると、悠也の自宅へ戻る。

悠也が出張に足りないものをそろえている間、理子はソファに座って待っていた。

待っている間何気なく見ていたスマホが着信を知らせた。

(課長!?)

休日にかかってくるのは珍しく、何事なのかと電話に出る。

「もしもし?」

『ああっ、良かった!』

安堵したような課長の声。

「どうしたんですか?」

『北田商店さんのホームページなんだが、営業から電話がかかってきて少し手直ししてもらいたいらしいんだ。私が行きたいところだが、今山梨にいるんだ』

電話の向こうから子供の声が聞こえる。

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