甘い恋の始め方
「じゃあ、今日はみんなで飲みに行くか」

「それ賛成―！」

加奈と課長のふたりの盛り上がりに、仕事をしていた社員たちも賛同し、飲みに行くことになった。

２課は仲が良い部署なのだが、１課は大手の会社相手のせいかピリピリしている雰囲気で、部署で飲みに行った話はあまり聞かない。

近くの居酒屋で２課の６人が集まり、いつものように和気あいあいと楽しいお酒の時間だ。

１０時近くになるとマイホームパパの課長をはじめ、家庭のある男性社員は自宅へ帰っていく。

「結局、残るのは私たちだけかぁ～」

ほろ酔い気分の加奈が、今出てきた店の真ん前で理子に抱きついてくる。

理子は笑いながら、加奈の腕を引き離す。

「やっぱり家庭第一でしょ。加奈だって結婚したら変わると思うけど」

「当分共働きだからな～　あ、電話だわ」

加奈のスマホが振動したようで、バッグの中をごそごそ探り取り出す。

「あずさよ」

着信の名前を理子に教えてから出る。

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