甘い恋の始め方
「もしもし~」

『やけにご機嫌じゃない?』

「会社の皆で飲んでたの~ 理子も一緒よ」

『そうだったのか。理子に電話したんだけど出なかったから』

「あら~」

『ちょっと飲まないかなと思って』

「いいよ~ もうかなり酔っているけどねー」

場所を決めてから電話を切った加奈は今の話をした。

「理子の携帯にも電話したってよ」

理子は自分のスマホを見ると、その通りに不在着信が2件入っていた。

「さっ、いこいこ」

加奈に腕を引っ張られるようにして、待ち合わせの場所に向かった。

本日2軒目の店は3人でよく集まるこじんまりしたショットバー。

オーナーは30代後半の髭を生やしたイケメンで、彼目当てに来る女性客は少なくない。

一時期、加奈は彼が気に入っていたけれど、今の婚約者の彼にプロポーズされたらすっかり気がなくなったよう。

あずさはすでに到着しており、おひとり様でジントニックを飲みながらスマホを弄っている。

入口の気配で顔を上げたあずさと目が合った理子は、軽く手を挙げてテーブルに近づいた。



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