甘い恋の始め方
男女6人。
ハイステータスの持ち主たちの集まりとあって、若いと思われる男性は見当たらない。いや、もしかしたら高収入の人たちだから、本当は若いのに頭を使い過ぎてハゲてきているのかもしれない。

第一印象が気に入った人がおらずがっかりだ。

(まあ、向こうもそう思っているかもしれないけれど)

この5人の中からどうしても……と言うのなら、斜め前に座っているスーツを着た男性が、清潔感があり、お腹が出ておらず、運動もほどよくしているみたいに見える。
40歳前ぐらいの印象だ。

(年は若い方が良い。年がぐんと離れた人と結婚して、若くして介護なんて嫌だし)

打算的になってしまうが、こういう出会いのゴールなんてそんなものだろう。

大恋愛のちの結婚なんて希望は、最後に別れた翔(かける)のせいで無残にも壊れた。

翔との出会いは行きつけだった代官山の美容室だった。若いけれど器用さが認められ、ヘアデザイナーになったばかりの彼だった。

「キレイな髪ですね」と声をかけられて飲み行き意気投合。
5回目のデートで何気なく歩いていた渋谷のラブホテルで身体を重ねた。

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