甘い恋の始め方
会議が始まる10分前になると、理子はタブレットとファイルを手にして立ち上がった。
電話中だった加奈が受話器を置いて見上げる。
「おー出来る女史って感じだわ。それでメガネをかけていたら完璧」
「からかわないでよ。じゃ、行ってくるね」
「はーい」
加奈は軽く手を挙げて理子を送り出した。
8階の会議室に向かう理子の足取りは重い。
どんな仕事でも仕事は仕事。でも、2課の個人の顧客相手の方が理子は好きだ。
エレベーターを待っていると、ちょうど山本課長と1課の男性がやってきた。
「山本課長」
理子は丁寧にお辞儀をして挨拶する。
「ああ。小石川君、忙しいところ悪かったね。期待しているよ」
強面の怖いイメージがある山本課長は珍しく柔らかい口調で話した。
1課が出来ない仕事を頼むのだから、愛想よくしてもらわないとやってられないところだ。
「未熟者ですがよろしくおねがいします」
「いやいや、彼にいろいろ教えながらやってくれ。去年入った設楽(したら)君だ」
「はい。こちらこそよろしくおねがいします」
理子は山本課長の隣に立つ、気弱そうな男性に頭を下げた。
「よろしくおねがいします」
設楽も頭を下げたところで、エレベーターがやってきた。
電話中だった加奈が受話器を置いて見上げる。
「おー出来る女史って感じだわ。それでメガネをかけていたら完璧」
「からかわないでよ。じゃ、行ってくるね」
「はーい」
加奈は軽く手を挙げて理子を送り出した。
8階の会議室に向かう理子の足取りは重い。
どんな仕事でも仕事は仕事。でも、2課の個人の顧客相手の方が理子は好きだ。
エレベーターを待っていると、ちょうど山本課長と1課の男性がやってきた。
「山本課長」
理子は丁寧にお辞儀をして挨拶する。
「ああ。小石川君、忙しいところ悪かったね。期待しているよ」
強面の怖いイメージがある山本課長は珍しく柔らかい口調で話した。
1課が出来ない仕事を頼むのだから、愛想よくしてもらわないとやってられないところだ。
「未熟者ですがよろしくおねがいします」
「いやいや、彼にいろいろ教えながらやってくれ。去年入った設楽(したら)君だ」
「はい。こちらこそよろしくおねがいします」
理子は山本課長の隣に立つ、気弱そうな男性に頭を下げた。
「よろしくおねがいします」
設楽も頭を下げたところで、エレベーターがやってきた。