甘い恋の始め方
「もう二度と現れないで!」
「お、おいっ」
理子の剣幕に翔は少し慌てて口ごもる。廊下に現れた人に聞かれてしまったからのよう。
理子もその時になって人がいたことに気づき、その人の顔を見た次の瞬間、絶句する。
「悠也さんっ!」
いつから居たのだろうか。どこからかわからないが、絶対に見られたくない場面を見られてしまいこの寒さにもかかわらず、顔が熱くなる。
「知り合いなのか?」
脇から翔が小声で聞いてくる。それから悠也と理子の顔に何度も視線を向ける。
悠也の表情はなにを考えているのか全く読めないが、突然ふっと顔を和らげた。
「理子さん、お困りですか?」
理子に向ける口調は柔らかく、表情も硬いものではなかったが、翔を見る視線が冷たくなる。
「へえ、浩太が言ってたのは本当だったんだ。お前って二股をかける女だったんだな。じゃあな!」
いきなり爆弾発言を落とした翔は、悠也の横をすり抜けるようにして狭い廊下を去って行った。
理子は茫然と去っていく翔の後姿を見ていたが、我に返りハッと悠也を見た。
(気まずい……)
「……悠也さん」
(なぜ来たのだろうか……)
合わせる顔がないというのに、もっともっと知られたくない部分を知られ、穴があったら入りたい心境だ。
「お、おいっ」
理子の剣幕に翔は少し慌てて口ごもる。廊下に現れた人に聞かれてしまったからのよう。
理子もその時になって人がいたことに気づき、その人の顔を見た次の瞬間、絶句する。
「悠也さんっ!」
いつから居たのだろうか。どこからかわからないが、絶対に見られたくない場面を見られてしまいこの寒さにもかかわらず、顔が熱くなる。
「知り合いなのか?」
脇から翔が小声で聞いてくる。それから悠也と理子の顔に何度も視線を向ける。
悠也の表情はなにを考えているのか全く読めないが、突然ふっと顔を和らげた。
「理子さん、お困りですか?」
理子に向ける口調は柔らかく、表情も硬いものではなかったが、翔を見る視線が冷たくなる。
「へえ、浩太が言ってたのは本当だったんだ。お前って二股をかける女だったんだな。じゃあな!」
いきなり爆弾発言を落とした翔は、悠也の横をすり抜けるようにして狭い廊下を去って行った。
理子は茫然と去っていく翔の後姿を見ていたが、我に返りハッと悠也を見た。
(気まずい……)
「……悠也さん」
(なぜ来たのだろうか……)
合わせる顔がないというのに、もっともっと知られたくない部分を知られ、穴があったら入りたい心境だ。