甘い恋の始め方
第3章

幸せの始まり

「悠也さん、こんな私でいいのならお願いします」

ずっと昔、結婚を夢見ていた幼い頃のプロポーズとは違うけど、これは幸せへの第一歩。

翔のプロポーズは最低だった。プロポーズをされた日、指輪も花もなかった。

『お前ってさ、空気みたいな存在だよな。俺と結婚する?』だった。

空気みたいな存在……良い意味でもあるけれど、翔の場合は「いてもいなくてもどっちでもいい存在」の意味だったのかもしれない。

以前のことを思い出していると、手が握られた。

「良かった。ありがとう」

悠也は優しい笑みを浮かべた。

「あの、もう敬語は止めてもらえないでしょうか? 部下に対してもそう言った言葉づかいなのは承知していますが……なんだか距離があるみたいで……」

「そうですね。わかりました。話し方を変えましょう。理子さ――理子もかしこまらない話し方をしてくれるね?」

「そ、それは……無理です」

「では俺も出来ない」

「そんなっ!」

慌てる理子に悠也は首を傾け、色気のある眼差しで見つめている。

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