甘い恋の始め方
食事が終われば各5分間の1対1のお見合いもどきが始まる。

(私に気づかなければ、会社を偽ろうか……私ったらなにを考えているの? 久我副社長が私を気に入ってくれるかわからないのに)

現に一番席が遠い理子は久我副社長と、目も合っていない。

ふと久我副社長の方から視線を感じて見てみると、彼の斜め後ろにいるあずさと目が合う。

あずさはこの人だからと久我副社長を分からないように指さし、理子に目配せして頑張ってねというようにウインクする。

(はぁ……誰でも彼が一押しだってわかるわ)

「このデザート、美味しいですね」

目の前の男性がもぐもぐとデザートを頬張りながら話しかけてきた。

「そうですね。3種類も選べるのは嬉しいです」

甘いデザートが大好きな理子はイチゴのミルフィーユ、パンプキンプリン、ガトーショコラをチョイスした。

ホールごとワゴンに乗せられてきて、その場で好きなケーキを選べるのは女子の心をくすぐるだろう。

理子も女子の心をくすぐられて、もっと選びたい心境だった。

「このミルフィーユ、サックサクですよ。いやー、生クリームとカスタードクリームもそう甘すぎず美味しいです」

男性は甘いものが大好きらしい。それなのに、やせ形体系。

甘いものを食べても太らない体質が羨ましい。三十路街道まっしぐら、そろそろ体系も気になって、スポーツジムに通いたいお年頃だ。




< 17 / 257 >

この作品をシェア

pagetop