甘い恋の始め方
「ありがとうございます。絶対に悠也さんを気に入ります。もうすぐ三十路の娘を貰ってくれる人に感謝してくれるはずです。それより、叔母様への手土産の方が大事だわ」

「叔母は君だけで感激するよ」

「そういうわけにはいきません」

「明日、買い物をしてから行こう。じゃあ、おやすみ」

悠也はもう一度唇にキスを落として帰っていった。

悠也が行ってしまってから、しばらくドアの前でぼうっとしていた。

今起こったことが信じられないのだ。

「夢じゃないわよね?」

閉まったドアを見つめながら呟く。

今日は5歳くらい年を取ってしまったくらい色々なことが起こった。

(もう別れるのだと思っていた絶望していたのに……久我副社長と結婚することになるなんて……いけない! 私酷い顔をしているはずだわ!)

明日会う叔母は有名なデザイナー。

キレイなモデルに見慣れているはずだから、少しでも良く見えるようにしなくては。

理子はドレッサーの引き出しから、友人の韓国旅行土産でもらったカタツムリエキスの入ったパックを取り出した。

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