甘い恋の始め方
翌日、理子はすっきりとした気分で朝を迎えた。

よっぽど疲れていたのか、昨晩は枕に頭をつけるとなにも考える間もなく眠りに落ちた。

そのおかげか身体が軽く感じる。

悠也のプロポーズの余韻もあって目覚めたときから幸せだ。

布団の中で「んっ!」と伸びをしてから身体を起こす。

今日の理子は忙しい。

迎えが来るまでに初めて会う叔母に印象よく見られるように自分を仕上げなければならない。

ベッドから出た理子はクローゼットを開けて、ふさわしい服を探す。

(好きな人を想いながら、服を選ぶのってこんなに楽しかった?)

心が浮き立っているけれど、緊張もしている。なんと言っても、悠也の叔母に会い、自分の両親に紹介をするのだ。

「あ! 電話しなきゃ」

服を選ぶ作業を中断して、理子は実家へ電話した。

今日の予定を聞くと、河川敷ゴルフに出かける父は16時頃に戻ってくるらしい。

紹介したい人がいるから出かけないでねと言うと、今まで聞いたことのない素っ頓狂な母の驚く声がして、理子はスマホから耳を話さなければならないほどだった。


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