甘い恋の始め方
(浩太君はどういうつもりだったのかしら……彼女がいるのに……やっぱりからかわれていたのかもしれない)

彼女がいると知って、彼への心に残っていた罪悪感が消えた。

支度を終え等身大の鏡の前でおかしなところがないか、チェックしているとインターホンが鳴った。

「はーい」

玄関のドアを開けると、スーツを着た悠也が立っていた。

紺色に細いストライプのスーツと、ラピスラズリのようなブルーのネクタイで素敵だ。180センチを超える長身にバランスのとれた体躯なので、なにを着ても良く似合う。

「おはよう」
「おはようございます」

同時に挨拶を交わし、お互いクスッと笑みを漏らす。

「用意はいい?」

「大丈夫です」

理子は足元に置いておいたバッグとコートを持った。

車に乗り込むと、運転席に座った悠也がじっと理子の顔を見てくる。

「な、なにかおかしいですか?」

「おかしいんじゃなくて、昨日から気づいていたけど髪型変えたね?」

「わかるほど変えてはいないんですけど……」

気づいてくれて嬉しい。

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